字幕を作る。

オペラのDVDを探していると、日本語字幕が収録されていないものが目に付く。有名どころは日本で発売されているものも多く、当然、日本語字幕が付いているが、ちょっとマニアックなものになると(といっても「傑作」とされているような作品である)、輸入盤しかなく、あっても英語の字幕である。

原語で意味がわかるのが理想というのはもっともだし、観てからテキストを読む、テキスト片手に観るというのも考えられるが、やはり、日本語字幕が欲しくなる。

技術的には、市販のDVDに新たに字幕を付したり(その過程でコピーすることになるが、私的複製の範囲だろう)、PCであればDVD自体に手を加えず字幕を表示することは可能だ。問題は字幕のもつ著作権だ。

今でも、個人的に字幕を作っている人は多い。しかし、誰かが作っても、それを共有することは許されないのが現状だ。なんとももったいない。

当然、字幕には著作権がある。音声と異なる言語の字幕には、翻訳者の著作権も付加される。

しかし、映像作品において、字幕がどれだけの情報量を持っているのだろう。脚本・台本はもちろん重要なファクターではあるが、それだけで満足する人はほとんどいないだろう(もちろん、内容にもよる)。であれば、より多くの言語話者が鑑賞する事のほうが、権利者の利益になるとは考えられないだろうか。

もちろん、改変や盗用を許すわけではない。クリエイティブ・コモンズの考えで、同一性の保持や、営利使用の禁止などの条件を付せばよい。さらに、翻訳の許可があればよい。原語の字幕をもとに、不特定多数の有志が作成した字幕が配布できれば、マイナー作品がより広く受け入れられるだろう。

企業側としては、海賊版の普及を促進してしまうという危惧もあろう。しかし、それはあまりにも本質をはずれた批判というものだ。