憂慮すべきこと。

衆院選がかなりまずい事になってしまった。自民・公明で衆院の3分の2以上の議席を獲得し、ついに「国民の多大な支持による」独裁政権が産声を上げてしまった。もはや立法において参議院は何の役割も持たず、与党の決定のみで立法する事が可能になってしまった。この状況下では余程の事(つまり自民党内の分裂だが、イエスマンで構成され、反対したら党の公認はもらえないという恐怖が植え付けられたいま、分裂は起こりがたいだろう)がない限り、内閣不信任・衆議院解散はあり得ないだろうから、少なくともあと4年間は現在の状況は打破されない(あり得るとしたら内閣総理大臣の交代時が最も可能性が高いか)。さて、今回の選挙で自民が大勝してしまった以上、憲法改定が現実味を帯びてきた。恥ずかしながら、いままで自民の憲法改定案が如何なるものか全く知らなかったので、この機会に調べてみた。今回読んだのは自民党・憲法改正プロジェクトチームの「論点整理(案)」。文量も少なく、箇条書きで読みやすい(もっとも「〜を見直すべきである」などとして曖昧な表現がえらく目立つが)ので、是非、目を通して頂きたい。もう本当に手がつけられないほど酷い(胸悪くなってきます・・・)改定案なのだが、特に気になった点を一部挙げておきましょう。(長文ですいません!)


「基本的人権の尊重」については行き過ぎた利己主義的風潮を戒める必要がある。(「前文」より)
「基本的人権」すらない国に私は住みたくありません。ところでこういうの、全体主義っていうんじゃなかったかね?
婚姻・家族における両性平等の規定(現憲法24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである。(「国民の権利及び義務」より)
つまり婚姻・家族に関して、両性不平等にすべきと。無茶苦茶ですね。
あと、明確にはわからないのだが、
科学技術の進歩、少子化・高齢化の進展等の新たな状況に対応した、「新しい人権」(同)
って何でしょうね。流石に年齢や、生まれかた(クローンなど)によって人権が変化するという事ではなかろうが・・・。
議事の定足数(現憲法56条1項)は、削除すべきである。(「国会及び内閣」より)
56条1項は「両議院は、各〃その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」というもの。
つまりいつの間にか議事を開いて議決できるようにすべき、という事ですか?
総理大臣以下の国務大臣の国会への出席義務を緩和し、副大臣などの代理出席でよいとするなど憲法の規定を見直すべきである。(同)
明記されていないのだが、おそらく、63条「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」の事。
答弁、説明のために出席を求められても出席しなくていいと。話になりませんがな。
文民条項(現憲法66条2項)は、削除すべきである。(同)
66条2項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」というもの。
まあ軍人だって国民なんだから、国務大臣になれる権利はあるべきだというのだろうが、手放しで賛成というわけにはちょっと・・・。
最高裁判所裁判官の国民審査の制度(現憲法79条)は廃止し、廃止後の適格性審査の制度についてはさらに検討を行うべきである。(「司法」より)
最高裁判所裁判官の国民審査廃止ですか。もう嫌だ・・・。
憲法の改正要件は、比較憲法的に見てもかなり厳格であり、これが、時代の趨勢にあった憲法改正を妨げる一因になっていると思われる。したがって、例えば、憲法改正の発議の要件である「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を「各議院の総議員の過半数」とし、あるいは、各議院にいて総議員の3分の2以上の賛成が得られた場合には、国民投票を要しないものとする等の緩和策を講ずる(そのような憲法改正を行う)べきではないか。(「改正」より)
憲法ほいほい変えられる上に、国民投票させてもらえないんだってさ。もはや憲法無いに等しいね。

とまあ、戦前に退行するような内容ばかり。そもそもこんなもの憲法と呼べるのか・・・。
もしもこのまま憲法改定が衆・参両院で議決されて、国民投票
が行われる事になったら、絶対に否決すべきです。
今度また論点を一つに絞られても、絶対に惑わされないように。
下手したら生命に関わる事なのですから。