この間、福祉をボランティアに依存する事の問題点を指摘したが、それ以前に言うべき事があった。
現在でも、親を介護するのは子供の当然の義務、と考えている人は少なくないようだ(更に介護するのは女性の仕事、と考えている人も多いらしい。救えんわ・・・)。
一口に介護といっても、その負担は年々大きくなっている。医療の発達から寿命は延び、そのかわりに重い障害を持つ高齢者が多くなり、また、子供の代の年齢層も高くなる。子供が介護する、となれば90歳の人を70歳の人が介護する、という状況も考えられる。ならば孫に、となれば孫は親と祖父母の介護をしなければならず、肉体的・精神的・経済的な負担は計り知れない。
重い障害を持つ人の介護は想像以上に辛いものらしい。さらに在宅で、相手が親ともなれば更に大変だ。四六時中、かつての姿を失った親の世話をしなければならない。肉体的障害を持っていれば、入浴や下の世話。精神的な障害なら、心休まる時はなくなる。
こんな状態では、介護する側も疲弊しきってしまう。具体的な体験談をきくと、介護疲れで、親を殺害してしまったり、自分が自殺してしまったり、というような事が起こるのも無理がないように思える。
こんな社会でいいはずはない。
まずは、親は子供が介護すべき、という意識を捨て、介護が必要な者は、社会全体で面倒をみるという意識が必要だ。そして、質・量ともに甚だ不十分な現在の介護制度・施設を改善しなければならない。
ところで福祉大国スウェーデンでは、親を介護するのにも給料が出る。確か資格を持っていれば、給料もあがったはずだ(うろ覚え)。いまの日本がスウェーデンのような福祉を築きあげるのはかなり難しいと思うが、多少なりともお手本にしていきたい。