福祉=奉仕からの脱却。

無償の福祉。

ことばは美しい。現在この国では多くの福祉事業において、ボランティアが大きな役割を占めている。

しかし、国や地方自治体は建前上、ボランティアを必要としない福祉を提供しているはずだ。それが提供できていないから、ボランティアに頼っているわけである。ボランティアを美化することで、国や地方自治体から目を逸らさせ、奉仕活動をしない市民に責任を転嫁しているともみる事が出来る。

ボランティアに頼ることの問題は、ボランティアがアマチュアであることにある。

資格を得ている人などは職業として福祉に従事しているだろうから、多くのボランティアは専門的な知識・技術を持っていないと推測される(もちろん、そうでない人もいるだろうが)。当然プロに比べてサービスの質は低くなってしまう(意識の問題ではない)。

また、代価を伴わないサービスに対し、受け手は要求をしづらい。代価を払っていれば、サービスの送り手と受け手は同等であるが、代価が無ければ立場は自然、送り手が上になってしまう。この事がサービスの低下を招く可能性がある。

現在、この国の制度では、ボランティア抜きで福祉事業を行うことは不可能だろう。だが、ボランティア無しで充実した福祉を実現することが、福祉の受け手・送り手双方にとって幸せな事だと考える。将来の目標として、念頭におくべきではないだろうか。