モーツァルトの「鏡」について。

作曲家、芥川也寸志・著の「音楽の基礎 (岩波新書)」という本のP.45に「Mozart: Violin Duet」とだけ書かれた曲の楽譜が載っている。

この楽譜は、上下どちらからでも読む事が可能で、二人のヴァイオリニストが向き合って、楽譜を奏者の間に置いて、各自の方向から楽譜を演奏していくことで、二重奏になるという面白い趣向の曲だ。

こちらで、ヴァイオリン版のほか、ヴィオラ版、チェロ版を含む楽譜がDLできる。

私はこの曲が好きで、よく演奏していたのだが、W.A.モーツァルトの作品一覧には、この作品が載っていない。一応、父親のL.モーツァルトも調べたけど、それもない。

で、初めて「教えて!goo」で質問してみた。

で、教えて頂いたURLがコチラ。

英語ですが・・・。辞書首っ引きで読んでみました。

以下、わかった事を要約します。

  • 通称は「Mirror canons(for 2 Violins)」「Table canons (for 2 Violins)」「Der Spiegel」「Spiegelkanons」など。日本語では「鏡」「鏡カノン」。
  • ケッヘル番号(モーツァルトの作品目録番号)は「K.Anh C10.16」。Anh.Cは偽作、あるいは偽作と疑わしいものを示すらしい。
  • 1928年 Fritz Jodeの編集により、Wolfenbutelで出版される。この時の原版は、Nurnburgにあった「Four Playful Duets [Scherzduette] by W.A. Mozart for two Violins」と題されたリトグラフ版。出版社の表示はなかった(これかな?)。
  • ケッヘル目録第6版では「Three[!] Duos favorites for two Violins...」というタイトルで、Edouord Guilaume Mayerにより、Rothenbourgで出版されていると書かれている。しかし、この版には、1850年から義務づけられていた出版社番号の表示がない。
  • ケッヘル目録の第3版改訂者であるアルフレート・アインシュタインは、ケッヘル目録第3版で(第6版にも書かれている)、明確に「このカノンは明らかにモーツァルトの真作ではない」と書いている。
  • ハイドンの作品目録である、ホーボーケン目録の中に、偽作として「Ein musikalischer Schertz(音楽の冗談)」(Group VI: G4)と呼ばれるヴァイオリン二重奏曲がある。この曲の論評で、EisenstadtのSandor Wolf図書館に同様の「音楽の冗談」があるとしている。タイトルは「Duo facile et Curieux pour deux Violons par Mr. Mestrino(メストリーノ氏による、2つのヴァイオリンのための平易で奇妙な二重奏曲)」。この曲の初めにある、29小節の鏡像カノンが、K.Anh C10.16のNr.4と同一である。ちなみにMestrinoは1780年〜1785年のPrince Esterhazy's Capelleのヴァイオリン奏者。
  • 「音楽の基礎」に載っていたのは第1番であること。

だそうです。

ハイドンのくだりは、ホーボーケン目録に載っている「Ein musikalischer Schertz」(ハイドン作、と書かれているはず)と、「Duo facile et Curieux pour deux Violons par Mr. Mestrino」(Mestrino作)が全く同じ内容で、その初めの曲がK.Anh C10.16の4番と同じ、ということでいいのかしら。

ということで、未知の作品がでてきましたね。また探してみましょう。