ゲームジャンルの発展と入力デバイス。

ゲームには、長時間・複雑で・俊敏な操作系が必要になる。個々のデバイスの特性と、ゲームの発展の関係を考察する。

現在、主として使われている入力デバイスは、

  1. ゲームパッド
  2. (PC用)キーボード
  3. マウス

である。

PSPやGBAは(1)、NDSのタッチペンは(3)と本質的には同じと考える。Wiiリモコンは特殊で、まだ一般的とはいえないので、ここでは考えないが、特性としては(39に近い。ステアリングや操縦桿を模したコントローラーは、かなりコアなユーザしか利用しないと思われるので排除する。

では、それぞれのデバイスの長所と短所を見てみよう。

それぞれのデバイスの特徴

ゲームパッド

家庭用ゲーム機ではコントローラーとして主にゲームパッドを採用してきた。左手親指で十字キーなど、右手親指でいくつかのボタン、さらに人差し指・中指に対応するボタンがあるのが一般的だ。

さすがに汎用ゲームコントローラとして発展してきただけあって、完成度は高い。指を動かす距離が少なくなるよう設計されており、無理なく多くの指を使用できるのも特徴である。

これにより、

  1. 長時間プレイしても指が痛くなりにくい
  2. 複数のボタンを同時に使用しやすい
  3. 十字キーやアナログスティックによる操作により、直感的・主観的なキャラクタ操作がしやすい(これは慣れかも)
  4. 俊敏なボタン操作がしやすい

などの長所がある。

一方で、短所としては、

  1. 両手が完全にふさがるため、他のデバイスと組み合わせにくい。そのため、ボタンが足りないと操作がほぼ不可能になる。
  2. 十字キーやアナログスティックによる操作では、大きく素早いカーソル移動ができない。

という点がある。

キーボード

PCをゲームのプラットホームとした場合、コントローラとしてまず考えられるのがキーボードである。処理系も楽で、どんなユーザでも必ず持っているので、昔からほぼ全てのPCゲームでキーボードを入力デバイスとして採用している。

長所としては

  1. ボタン数=キー数が圧倒的に多い。また。文字との関連性を持たせられる(マップ=MapなのでMキー、など)。
  2. オンラインゲーム等で、チャットへの移行がスムーズ
  3. キー設定によっては片手が空くので、マウス等、他デバイスとの併用が可能

などがある、一方、短所としては、

  1. 操作キーが多く、また、どこにあるかわかりにくいので、ゲームごとに慣れるまで時間がかかる。
  2. 指の移動が大きく、同時に押すのも難しい
  3. プレイ時に指が不自然なかたちになりやすく、腱が痛みやすい

などがある。

マウス

マウスは上二つのデバイスと違い、連続量の入力が非常に得意なデバイスである。キーボードほどではないが、今やほとんどのPCにはマウスがついているため、これも採用されることが多い。

長所としては、

  1. マウスの移動により、俊敏で大きなカーソル移動が可能である
  2. アイコンとの組み合わせにより、視覚直感的なインタフェイスを構築しやすい
  3. 片手で操作するのが一般的なので、他デバイスとの併用が可能
  4. ホイールにより、軸の違う連続量入力が可能(マウスによってはホイールで2次元の連続量が得られる)

短所としては、

  1. カーソル移動に大きく微妙な操作が必要なので、繰り返しの操作にストレスがある
  2. ボタンがあまりにも少ない
  3. ボタンクリック時に指にかかる負担が大きい(しかもうるさい)

などがある。

特定ジャンルの発展とデバイス

さて、(1)ゲームパッドが一般的な家庭用ゲーム機と、(2)キーボード+(3)マウスが一般的なPCのゲーム事情を考えてみよう。

家庭用ゲーム機で大きく発展しているのは、アクションとRPGであろう。

複雑・俊敏・直感的な操作がアクションには(1)ゲームパッドは大変有効である。対戦格闘など、(2)キーボードや(3)マウスで操作するのは不可能であろう。また、繰り返し操作と主観的キャラクタ移動の多いRPGにも(1)ゲームパッドは有効である。

一方、PCで大きく発展しているのは、FPSとRTS、各種オンラインゲームであろう。

FPSは(1)ゲームパッドが有効に思われるが、素早い視線の移動、照準の移動では、(3)マウスに一歩譲る。

RTSは複雑なメニューを視覚的に操作できる、広大なマップの位置指定、多数のユニットの操作などで(3)マウスが有用である。慣れてきたら、キーの多さを生かして(2)キーボードも併用できる。

オンラインゲームは当然ジャンルによって大きく異なるが、文字入力にスムーズに移れるという点で、(2)キーボード(+(3)マウス)のアドバンテージは大きい。(1)ゲームパッドの場合、完全にコントローラを手放さなくては、文字入力はできない(もっとも、マイクによる音声チャットが可能なら、この利点は消える)。

当然といえば当然だが、デバイスの特徴とゲームジャンルの発展には相関性があるように思える(他にも様々な要因はあるが)。

余談

・・・それにしても、(2)キーボードの操作性は非常に悪い。直感的・俊敏な操作もできず、すぐ指が痛くなってしまう。RTSならあまり問題はないが、FPSは結構つらい。とはいえ、(3)マウスによる操作はほしいので、(1)ゲームパッドに移行するわけにもいかないし・・・。マウスと併用できる(1)ゲームパッドみたいなものがあれば便利なのになあ。

ちなみに最近では、新たなデバイスとして(4)携帯電話もある。

携帯電話の特徴は(2)キーボードに近いものになるが、操作は両手親指で行うので、操作感はやや(1)ゲームパッドに近づく。ただ、致命的なのは、キーが「重い」事である。押し続けたり、早い操作をするとすぐ指が痛くなってしまう。また、キー配置が悪い、不安定、発熱がひどいなどもあり、キャリア各社が盛り上げようとしてる割には、ゲームデバイスとしてかなり不出来であると思う。まあ、テーブルゲームやパズルにはいいかな、とは思います。

もう一つ注目のデバイスは(5)3DマウスのSpaceNavigatorである。

Google EarthやGoogle Sketchでの利用を念頭に置いたマウスで、PlayStationのアナログスティックなどに近いが、軸が非常に多い。現在は、前述のソフトとCADなどに利用されているが、ゲーム用デバイスとしてもおもしろそうである。