公共図書館とNaxos Music Library。

高山市図書館が、音楽のストリーミング配信サービスを導入したと、複数のメディアで報じられています。ナクソス・ジャパン株式会社が提供する「ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)」を導入したそうです。

なお同様のサービスは、岐阜市立図書館でもすでに導入しています。

高山市図書館、音楽配信サービスの提供を開始 : カレントアウェアネス-R

私も愛用のNaxos Music Library。ナクソスの名がついてるけど、BISやHänsslerほか89のレーベルが参加、20000枚以上のアルバム(しかも随時追加)が、月額1890円で自由に(ストリーミングで)聴けるサービスだ。

一部の大学図書館が導入してるのは聞いたことあったけど、公共図書館でも導入してるんだなあ。しかも館内利用じゃなくて、利用者が来館して利用票を発行、自宅等から2週間利用可能、という形態。

自宅で利用できるというのはヘビーユーザーには嬉しい限りだが、公共図書館のサービスとしてはちょっと敷居が高い気もする(それでも、通常の視聴覚資料の利用より楽な気もするが)。館内で音楽関係の本を参照しながら聴けると便利だろうと思うが、長時間のPC独占を誘発しそうな気もする。(ネットで得られる情報では、館内で利用できるかは書かれていない。利用票発行を受けて館内PCから利用することはできるかも。)

ITmediaの記事によれば「高山市図書館がナクソスに支払う年間利用料はCD約30枚分」とのことで、CD1枚分がナクソス価格ではないだろうから、多めに見積もって年間10万円くらいか。個人での利用が年間2万円強であることを考えると安い気がする。

「日本の図書館」によれば、高山市図書館の2005年度決算(これより新しいデータは見つからなかった)での資料費は以下のようになっている。

資料費:31,382千円

うち図書費:28,646千円

うち雑誌新聞費:1,159千円

うち視聴覚資料費:1,317千円 日本図書館協会図書館調査事業委員会「日本の図書館 2007 : 統計と名簿」 日本図書館協会, 2007. (レイアウトは変えてます)

ここから考えると・・・

  • 資料費におけるNML利用料の割合:0.3%
  • 視聴覚資料費におけるNML利用料の割合:7.6%

となる。AV資料の7.6%というのはちょっと多い気もするが、全資料費の0.3%なら、まあ問題ないんじゃない?という印象。

継続利用するとどうか考えてみると、仮に10年間利用するとして100万。その分を全て1枚1000円のナクソスCDにつぎ込んでもわずか1000枚である。玉石混淆とはいえ20000枚以上の資料を提供できるというのはなかなかに魅力的だ。

ただ、電子ジャーナルと同じで、なんらかの理由でサービスを打ち切る(られる)と、図書館には何も残らない。アーカイブとしての役割はないので、AV資料購入の代替ではなく、データベースサービスの一環として捉えた方がよさそう。

追記(2009/02/09)

図書館流通センター(TRC)の「TRCおすすめのオンラインデータベース一覧」によれば、NMLの利用料金は5ライセンスで年額10万円。200ライセンスまでの契約があって、1ライセンスあたり年額1〜2万円。個人ユーザと同じかやや安い、くらいの値段設定ですね。