ペンギンラボ for music and informatics

Chapter.3: 音程2 – 協和・不協和、復音程、転回

ここからは、音程について更に詳しく見ていきましょう。
具体的には、協和・不協和の違いと、複音程、転回音程を勉強していきましょう。

さて、手元にピアノのある人は、 色んな2つの音を同時に鳴らしてみてください。2つの音の音程によって、よく響くものとにごった響きのするものがあることがわかると思います。

このうちよく響く音程を「協和音程(きょうわおんてい)」、にごった響きのする音程を「不協和音程(ふきょうわおんてい)」といいます。

さらに、協和音程の中にはよりよく響く「完全協和音程」と、それほどでもない(というと語弊があるけど・・・)「不完全協和音程」があります。

これらは、ちょうど前項でお話した完全・長・短・増・減の音程と対応します
というか、協和・不協和を示したものが完全・長・短・増・減です。

完全協和音程は「完全?度」となるもの。具体的には完全1度、完全4度、完全5度、完全8度です。

不完全協和音程は「長?度」「短?度」となるもの。具体的には、長2度・短2度・長3度・短3度・長6度・短6度・長7度・短7度です。

それ以外の増・減音程はすべて不協和音程です。
表にして見てみましょう。

協和音程不協和音程
完全協和音程不完全協和音程
完全1度・完全4度
完全5度・完全8度
長2度・短2度・長3度・短3度
長6度・短6度・長7度・短7度
左以外の音程
増・減音程など

これらの音程がなぜ協和・不協和となるのか、そもそも、どのように1オクターブの12音や音階が選ばれたのかは、やや難しい話になるので、音律1にまとめました。マニアックなようで、実は西洋音楽の根幹に関わる部分なので、興味のある方は是非ご一読を。

ここまでは1オクターブ(完全8度)までの音程を対象としてきましたが、当然それ以上の音程もあります。これを「複音程(ふくおんてい)」と呼びます。逆に、1オクターブまでの音程を「単音程(たんおんてい)」とも呼びます

複音程では、度数はどんどん数字を大きくしていけばいいのですが、完全・長・短などは、単音程にならいます

つまり、ドと1オクターブ上のレは9度で、ドとすぐ上のレの間は長2度だったから、長9度。ドと1オクターブ上のソは12度で、ドとすぐ上のソの間は完全5度だったから、完全12度といった具合です。

fig.長9度と完全12度

この考えでいくと、いくらでも数字を大きくしていくこともできますが、はっきり言ってわかりにくい!ので、普通は大きくても15度(2オクターブ)くらいまでしか使わず、1オクターブと完全5度とか、あるいは省略して単音程で呼ぶ場合もあります。

音名をそのままに、2音の上下関係を逆にしたときの音程を「転回音程(てんかいおんてい)」とよびます。

では、問題。
ドとすぐ上のレの間は長2度でした。では、この転回音程、つまり、ドとすぐ下のレの間は?

・・・・・答えは短7度です。
きっちり鍵盤を想像して考えた方、お疲れ様でした。実はもっと簡単に知る方法があります。

以下は1オクターブ内の適当な12音を、ドの上と下に配置して音程を書いたものです。

fig.1オクターブ内の適当な12音を、ドの上と下に配置して音程を書いたもの

よく見てみましょう。
「完全〜」は上下とも「完全〜」「長〜」「短〜」は上下で逆になっていますね。「増〜」「減〜」も同様に上下で逆になっています。

度数はどうでしょう。当然ですが、上が増えていき、下が減っていきます。また、上下の度数を足すとつねに9になるのがわかりますか?
ということは、9からそれぞれの度数を引けば、転回音程の度数がわかります。 前述の問題では、ドとすぐ上のレの間は長2度だから、転回音程は「長」の逆の「短」、9-2で7度、よって「短7度」とわかるわけです。

これがなんの役に立つかって?
まあ、和声やるときに役立つというのもあるんですが、それよりも、同じ2音でも上下関係によって性格が変わるという事を知るために必要かと思います。