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Chapter.6: 和音

和音(わおん chord)です。2つ以上の音を同時に鳴らせば和音ともいえるわけですが、西洋音楽理論の(正確には機能和声における)和音は少し定義が違います。

定義

ある音=根音(こんおん root note)の上に3度の間隔で2つ以上音を加えたもの、というのが和音の原則です。3度というのがポイントです。

また、音の上下関係が変わっても、同じ音名の音がいくつあっても同じ和音と見なします。以下はどれも「ドミソ」の和音です。

fig.様々なドミソ

根音の上に3度間隔で2つ音を重ねたものを三和音(さんわおん triad chord)と言います。最もシンプルな和音で、すべての和音の基本になります。

さらに3度上に音を重ねたものを四和音また7の和音(seventh chord)と言います。三和音に根音から数えて7度上の音を加えているためです。三和音にくらべ、響きがすこしだけ複雑(オシャレとも言う)ですが、これもよく使われます。

さらに音を重ねていくと9の和音、11の和音、13の和音とつくっていくことができます(根音の15度上は根音なので、15の和音はない)。これらは数字が増えるごとに響きが複雑になっていくので、より使いどころが難しくなります。ただし、近代以降の音楽やジャズ由来の音楽などでは非常に多用されます。

和音と調

和音と調は密接な関係にあります。というか、調によって使う和音が決まり、使う和音によって調が決まります。

調1で、調は使用する音階によって決まると書きました。ということは、和音も音階によって決まります。

ある調で使う最も基本的な和音は、その音階中の音を使って作られます。以下は、ハ長調の各音階音上に三和音をつくったものです。

ハ長調の各音階音上の三和音

それぞれの和音の下に I 〜 VII までのローマ数字がついていますね。これは和音を示す和音記号で、それぞれ音階の第1音?第7音を根音にした三和音を表します。
(※この記号は日本の、「芸大和声」と俗に呼ばれる「和声?理論と実習?」とこれに類する書籍でのみ使われているもので、外国では全く通用しないらしいので、注意してください。)

三和音の種類

さきほどの和音の各音の音程を見てみましょう。

I・IV・V では下から長3度・短3度、合わせて完全5度になっています。こうした和音を、長三和音(major triad chord)と呼びます。

II・III・VI では下から短3度・長3度、合わせて完全5度になっています。こうした和音を、短三和音(minor triad chord)と呼びます。

VII は下から短3度・短3度で、合わせて減5度です。こうした和音を、減三和音(diminished triad chord)と呼びます。

さらに類推すると、長3度・長3度の合わせて増5度の和音が考えられます。こうした和音を増三和音(augmented triad chord)と呼びます。

長三和音・短三和音は、含まれる音程がすべて協和音程なので素直に響きますが、減三和音・増三和音は不協和音程を含むので不安定な響きがします。