「和声と楽式のアナリーゼ」

今日、クラシック曲のアナリーゼ(楽曲分析)をやってるサイトはないかとググってたところ(そういうサイトはなさそう?)、島岡譲氏の新刊「和声のしくみ・楽曲のしくみ—4声体・キーボード・楽式・作曲を総合的に学ぶために」なる本が出てました。とてもよさそう。\3000弱はキツイけどそのうち買わないと。もう図書館にリクエストするのもちょっと気が引けるし(笑)。

今回は同じ島岡譲氏の「和声と楽式のアナリーゼ」について。

私、恥ずかしながら夢は日曜作曲家でして、当然ながら独学なので作曲に関わる本をあさったわけです。で、色々読んで一番しっくりきたのがこの本(そして一度でも最後まで読んだのもこの本のみ!(笑))。というわけで、特に独学者にオススメです。

楽式論はよく知りませんが、日本で和声の本と言えば「和声?理論と実習」が有名。同じく島岡氏が執筆(共著ですが)しています。

ただ、これは・・・はっきりいってしんどいデス・・・。かなり本格的なのか、全3巻+解答例が別冊と大ボリューム。お値段も本格的で、全部買うと約2万円!

読みながら演習問題をすすめていけば、難しいことはないんですが(1巻しかやってないけど)、量が膨大でしんどいのに、実例が全くないために「これって役に立つんだろうか」と思ってしまう。あと、ソルフェージュ力のない私には、ピアノで弾かないとわからないので、4声体は指が届かなくて大変でした(笑)。

なにより、和音の並べ方だけでなく、ボイシング(和音のどの音を、どの順で、どの高さに置くか)にかなり紙面を割いてるので、余計にしんどい&不信になってきます。

一方の「和声と楽式のアナリーゼ」。

これのいいところは2つ。実例が豊富(というか、それしかない)な点と、ボイシングを扱わない点。

実例が豊富・・・というか、アナリーゼが主点なので、新しい和音が出てきたら、実際に使われてる譜例を示し、演習問題も全て実際の曲のアナリーゼ。確実に役に立つことを実感できます。

しかも、譜例も割と長くて、出てくる曲は一部を除いて、バイエル、ソナチネ・アルバムI・II、ソナタ・アルバムI・IIというピアノ弾きならまず持っているだろう曲集にある曲ばかり!持ってなくとも、安くどこでも手に入ります。これは大事。交響曲のスコアの抜粋なんか出されたって、とても全部揃えられやしません。なんて実用的なんだ。

もう一つ、ピアノ曲しか扱わないので、基本的にボイシングは扱いません(もちろん転回は扱いますが)。ありがたい!これのおかげでヤヤコシイ規則を憶えなくて済みます。和声(と楽式)に集中できます。指も足りるし(笑)。

あと、楽式を扱ってるのもよいです。和声をやりはじめたときにも思ったけど「あ、意外とクラシックの曲ってシンプルな構造なんだな」というのがわかって安心&感心します。

これだけ親切な作りですが、内容は濃ゆく、全部、自分のものにするのは結構大変だと思います。でも、他の本に比べれば、わかりやすく、やる気も持続するというものです。

この本は、楽典の次に読む理想的な本で、これで和声と楽式の基本的な部分を理解したのちに、前に挙げた本や、その他の各論に進むのがいいかと思います。私はまだそこまで行けませんが、がんばります。