Mac では、特殊キー (修飾キー) を記号で表現することがよくある。下記がその一覧。
記号 | キー | コードポイント | Unicode での文字名 |
---|---|---|---|
⌘ | command | U+2318 | PLACE OF INTEREST SIGN |
⌃ | control | U+2303 | UP ARROWHEAD |
⌥ | option / alt | U+2325 | OPTION KEY |
⇧ | shift | U+21E7 | UPWARDS WHITE ARROW |
⌤ | enter | U+2324 | UP ARROWHEAD BETWEEN TWO HORIZONTAL BARS |
⎋ | escape / esc | U+238B | BROKEN CIRCLE WITH NORTHWEST ARROW |
↖ | home | U+2196 | NORTH WEST ARROW |
↘ | end | U+2198 | SOUTH EAST ARROW |
↩ | return | U+21A9 | LEFTWARDS ARROW WITH HOOK |
↑ | ▲ | U+2191 | UPWARDS ARROW |
↓ | ▼ | U+2193 | DOWNWARDS ARROW |
← | ◀ | U+2190 | LEFTWARDS ARROW |
→ | ▶ | U+2192 | RIGHTWARDS ARROW |
⌫ | delete | U+232B | ERASE TO THE LEFT |
⌦ | forward delete | U+2326 | ERASE TO THE RIGHT |
そこで、友達から、記号の意味がわかれば覚えるんじゃないか、といわれ、なるほどと思って調べてみた & 推測してみた。
資料はおもに日本語版および英語版の Wikipedia なので、悪しからず。
⌘ (command)
command キーを示す ⌘ については、Wikipedia に詳しい記述がある
初代Mac開発メンバーであったスーザン・ケアが、北欧の史跡などを示す交通標識に使われる ⌘ マークを記号辞典で見つけ、採用したといわれている。開発段階ではアップルマークが使われていたが、コマンドキー表示としてアップルマークが連なるメニューを見たスティーブ・ジョブズが自社ロゴを濫用していると感じ、別のマークにするよう指示した。
記号自体については Saint John's Arms に詳しく、北欧で5-7世紀頃に使われていた記号だそうだ。Saint John's Arms のほか Saint Hannes Cross などと呼ばれており (ただし、紀元前の木製スキーにも描かれているためキリスト教起源ではないとされる)、フィンランドでは、魔除けとして家の壁にペイントしたりするそうだ。
⌃ (control)
そもそも control キーは下記のような役割をもつ。
テレタイプ端末、及び初期のコンピューターキーボードでは、コントロールキーを押しながら他のキーを押すと、生成されるASCIIの下位5ビット以外がゼロとなった。これによりユーザーはASCIIの非表示文字である最初の32文字 (0x00 - 0x1f) を生成、入力できる。
たとえば、J (0x4A, 1001010b) を control とともに押下することで、改行 (0x0A, 0001010b) を得られる。制御文字 = Control character を入力するためのキーなので control キーというわけだ。
上記の例で、改行文字を ^J と書く記法があり (Caret notation, ASCII も参照)、この事で control を ^ で表すことになったらしい。そもそもなぜ ^ が使われたかはわからなかったが、この記法は Mac に限らない、一般的な記法らしい。
ただし、Mac では ASCII に含まれる ^ (U+005E, caret) のかわりに ⌃ (U+2303, up arrowhead) で control キーを表している。
⌥ (option)
option キーを示す ⌥ については、Wikipedia に記述がない。Google で調べてみたら、Quora にそのものずばりの質問があった。
Computer Keyboards: What is the origin of the Mac's "option key" symbol (⌥)? - Quora
その回答として、一番支持されてたものがこちら (抜粋)。
It was clearly inspired by the electrical symbol for an SPDT switch:
この回路図の左側から流れる電流を、スイッチによって、右上に流すか、右下に流すか選択できる。通常の動作を別のものに切り替えるという事で option や alternate (alt) を示すのだろう。
⇧ (shift)
まずはシフトキーの由来。
シフトキーの名称は、英文タイプライターが由来である。当初は刻印用の文字盤が水平に置かれて、下からの打鍵圧力により打刻される(アップストライク方式)構造だったが、その文字盤をシフトキーで「シフト(shift,ずらす)」という構造になっていた。
shift は移す、替えるという意味で必ずしも上向きではない。上向きの矢印になったのは、下記の経緯によるのではないか。
のちにタイプライターは文字盤を手前側に置かれ、前からの打鍵圧力によって打刻される(フロントストライク方式)構造へと移り変わった。その文字盤は「ずらす」のではなく「リフト(lift,持ち上げる)」されるが、呼称は変わることなく「シフト」と呼ばれ続けた。
⌤ (enter)
上の破線で部屋の入り口を、下の折れ線でその部屋に入る (enter) ことを示していると考えられる。
⎋ (escape)
○で示した領域から、逃げ出す (escape) 様を矢印で示していると考えられる。
⇟ (page down) / ⇞ (page up)
省略を示す二本線をともなう矢印だろうか。
↖ (home) / ↘ (end)
欧文の文書における、文の始め = 一番上の行の一番左、文の終わり = 一番下の行の一番右、を示していると考えられる。
↩ (return) / ↑↓←→ / ⌫ (delete) / ⌦ (forward delete)
このあたりは明確ですよね。
ちなみに
上記の記号を使うときは、フォントは Lucida Grande にしとくといい感じですよ。