ものを知るコト、伝えるコト。

HPで執筆して、2年ほど更新していなかった楽典を再び書き始めた。

でも、どうにもうまくいかない。

昔に比べ、文量は多く、文体はカタく、とにかく読みにくくなってしまう。大学生活で論文に慣れてしまったり、いまとなってはかつてのテンションが恥ずかしいというのもあろうが、一番の理由は、音楽の事を以前よりは深く知ったためだと思う。

物事を深く知ってしまうと、人に伝える時には、できるだけ正確に、本質を伝えようとしてしまう。そうすると、文量は当然多くなるし、曖昧さや誤謬を避けるためにカタい文体になる。物事の本質はとかく抽象的で、言葉にしにくいものだからなおさらだ。結果的に、自分がかつてわかりにくいと感じた、教科書的な文になってしまう。

昔の文は、今見ると間違いや、曖昧な点も多いが、全体としては読みやすく、それなりの評価もいただいた。ものを知りながら、知らない人の立場にたって伝えるというのはなんと難しい事か。そういう事をできる人が、素晴しい教育者になれるのだろう。